桜の花びらを便せんに 作:月原柘榴
まだ咲くには早い桜の花びらが
冬の空を舞っていた
「え?…」
どこの世界線に辿り着いたのだろうか
不思議に思ったけれど
たった一枚だけ花びらを掴んだ
しっかり桜の花びらが手のひらにあって
嘘じゃないことを教えてくれた
「…どこから?」
辺りを見渡しても桜の木はない
けど、どこからか桜の花びらが舞っていて
まるで、雪みたいだ
とてもきれい
「そうだ、これを…」
大切なあの人に贈ろう
空を舞っていたんだって一筆添えて
冬の空を桜の花びらが…
(信じてもらえるだろうか…)
手のひらにある桜の花びらを見つめて
心に問いかける
0コメント