クローゼットのお姫様 作:紡樹琥珀

待ってたよ

ごめんな、兄ちゃんの部屋に呼びつけて

俺がそっちに行けたら良かったんだけど、ちょっと無理でさ

それとさ、不安にさせたよな?

バレンタインの時、あんなに気持ちを伝えてくれたのに、俺は「好きだよ」の一言で済ませて…

まぁ、あの直後母さんが帰って来たから言えなかったっていうのもあるけどさ

それで、今日ホワイトデーだし、あらためてお前に言おうと思って

ありがとな。

兄ちゃんを…いや、俺を家族としてじゃなくて、男性として好きだって言ってくれて。


嬉しかったよ

本当だ

嘘なんかじゃない

ずっと、ずっと…


お前が小さい頃から、生まれた時から、俺だけのお姫様で

お前が、男子から告白されるたびに、嫉妬に燃えて苦しかった

お前もそうだったって知って、やっと俺は安心したよ

お前は変わらず、俺だけのお姫様だ

昔から、これからも変わらず、俺だけの…


もう離さない。

もう、誰にも触れさせない

もう、誰の目にも触れさせない

もちろん、お前もそれでいいよな?

兄ちゃんの事、好きだろ?

お前、そう言ったよな?

俺を認めてくれるよな?

だったら、分かるよな?


俺さ、お前の為だけに用意したんだ

見てくれよ、このウォークインクローゼット

要らないもの全部捨てて、お前が過ごしやすいようにクッション敷いたり

可愛いもの揃えたりして整えたんだ


だから、分かるよな?

そう、いい子だ

これからはずっと、俺と一緒だよ

ジパング

黄金の国ジパング… それは、ちょっとしたお話で生まれたタネ。 当HPでは、とある物書き集団が紡ぎだす声劇台本を掲載しています。 利用規約を読んだ上で、気軽にご利用いただけたら幸いです。